連載記事

野村ケンジの「カー&AV道楽」

第11回 カーiPod事情2008 カーAVはiPodデジタル接続が全盛!?
2008年5月8日掲載


iPodデジタル接続の魅力

先日とある取材で、ケンウッドの「I-K7」という、比較的リーズナブルなCDレシーバーを長期借用する機会にめぐまれた。およそ1ヶ月、実際にクルマに積んでいろいろとイジリ倒してみたのだが、低価格モデルの音質的な「底上げ」を再確認するとともに、iPodをはじめとするデジタルメディアプレーヤーとのマッチングのよさには、目を見張るばかりだった。

現在僕の所有するクルマは2台ともに別体パワーアンプが積まれており、ヘッドユニットもアンプレスの上級CDプレーヤーを使用しているため、「I-K7」に交換することは明らかな音質的グレードダウンにつながってしまう。そうとわかっていても、「I-K7」を長期間にわたって借用し続けたのにはワケがある。それは、iPodサウンドのクオリティ。何を隠そう、この「I-K7」、実はiPodが「音声的にも」デジタル接続されている機器なのだ。

I-K7 ケンウッド「I-K7」と「iPod nano」

現在僕のクルマ(2台のうちの1台)「日産マーチ」には、harman/kardon製のiPodアダプター「drive+play」が積まれている。ヘッドユニットのメーカーを選ばないRCA接続を採用していること、モニターが別体式になっていて置き場所の自由度が高いこと、デザインのセンスがよいことなど、あらゆる意味で気に入っている製品なのだが、所詮はアナログ接続。デジタル接続、しかもダイレクトに信号が入力されるヘッドユニットには、どうしても音質的にかなわない。それほどまでに、iPodのデジタル接続とアナログ接続では、音質なクオリティに大差があるのだ。事実、僕も「I-K7」を取り外すのに少なからずためらいをもったほどだ。

I-K7 ケンウッド「I-K7」を日産マーチに装着したところ

各社から登場したiPodデジタル接続対応機種

まわりを見回すと、カーAVの世界ではiPodデジタル接続が各社から次々とリリースされ始めている。1年ほど前にもiPodデジタル接続についてコラムを書いたが、1モデルしか存在しなかったその時とは大違い。いまや「iPodデジタル接続は当たり前」と言わんばかりだ。

しかしそのいっぽうで、iPodとはアナログ接続の機器がいまだ多数派であることも事実。そこで、どの製品がiPodデジタル接続に対応したモデルなのかを見間違わないために、対応モデルを一挙紹介しよう。

ケンウッド「I-K7」(30,450円) メーカーサイト

2つのコントロールダイヤルを持ち、iPodと違和感のない操作性を実現したCDレシーバー。低価格製品ながら、日本語タイトル表示に対応するなど、iPodとの親和性は高い。iPodデジタル接続ケーブル標準装備。USBメモリーにも対応する。

ケンウッド「I-K7」


ケンウッド「U737」(36,750円) メーカーサイト

左にダイヤル、右に十字コントロールキーを持つ操作性の高いモデル。iPodの日本語タイトルに対応し2行表示が行える。iPodデジタル接続ケーブルはオプション。USBメモリー対応。

ケンウッド「U737」


ケンウッド「U535」(24,150円) メーカーサイト

フロントパネル側にUSB端子を用意したモデル。iPodデジタル接続ケーブルはオプション。

ケンウッド「U535」


パイオニア「カロッツェリアDEH-P630」(34,650円) メーカーサイト

iPodおよびUSBデバイスに対応したCDレシーバー。フロントパネルに用意された大型のダイヤルコントロールで車室内でも快適な操作性を実現。iPodデジタル接続ケーブルは別売。

パイオニア「カロッツェリアDEH-P630」


クラリオン「DXZ385USB」(21,000円) メーカーサイト

フロントパネルに用意されたUSBポートに接続することでiPodデジタル接続を実現。もちろんUSBメモリーにも対応する。iPod&USB以外のメディアプレーヤーにも対応できるよう、フロントパネルにAUX入力端子も用意(ステレオミニジャック)。6chRCA出力も搭載し拡張性も十分。

クラリオン「DXZ385USB」


アルパイン「iDA-X100」(42,000円) メーカーサイト

iPodをメインプレーヤーとした新時代ヘッドユニット。カーAV初、いやホームオーディオも含めて世界で一番最初にiPodデジタル接続を実現した「iDA-X001」の後継モデル。価格はリーズナブルになったものの、24ビットDAコンバータやiPodと同じアルバム・アートワーク表示が可能(ビデオ再生は不可)な2.2インチディスプレイを採用するなど、音質と操作性の両面にわたるこだわりは健在。別売のIMPRINTサウンドプロセッサー「PXA-H100」と接続することでさらなる高音質を実現できる。

アルパイン「iDA-X100」


アルパイン「iDA-X200」(24,150円) メーカーサイト

「iDA-X100」の下位モデルで、2インチディスプレイは英語表示のみ。こちらもIMPRINTサウンドプロセッサー「PXA-H100」と接続可能。

アルパイン「iDA-X200」


いまはまだCDレシーバーとiPod専用ヘッドユニットのみだが、今後はカーナビや高級CDプレーヤーにも採用は広がっていくだろう。このように、カーAVの世界においてiPodデジタル接続は当たり前のようになりつつある。これは素晴らしいことだ。実際ホームオーディオ、ホームシアターの世界ではiPodデジタル接続はまだまだ夜明け前、パイオニアの高級AVアンプ「CS-LX90」など一部機種で採用が始まったばかり。ことiPodに関して、カーは一歩も二歩も先を行っているのだ。この恵まれた環境を、大いに享受しようではないか。

iPodデジタル接続のマイナスポイント

最後にあえて、iPodデジタル接続の難点を2つほどあげよう。

まずひとつめは、旧モデルのiPodや「iPod Shuffle」などはデジタル接続できない点。対応モデルは、「iPod nano」(第1世代以降)と「iPod classic」(第5世代以降)、「iPod touch」の3タイプとなっている。しかしビデオ再生不可能な「iPod」や「iPod mini」を使っている人はそれほど多くないだろうから、大きな問題はないだろう。もし使用している人がいれば、これを機会に買い換えをお勧めする。

iPod touchとiPod nano

もうひとつは、iPodデジタル接続よりも、USBメモリー(USB接続するメディアプレーヤーも含む)からの再生の方がさらに音がよい点。これは伝送の形式に由来するもので、本体内で、音楽ファイルからリニアPCMにD/D変換するiPodよりも、ファイルをそのままヘッドユニットに読み込むUSBメモリーのほうが、よりピュアでダイレクトな音楽再生が可能となっているためだ。しかし両者のクオリティ差はアナログ VS. デジタルほどではないから、個人的にはiPodの使い勝手のよさを捨ててまで、USBメモリーを用意することはあまり推薦しない。USBメモリーでは著作権保護のついた音楽ファイルも再生できないし(少しでもよい音にこだわりたい人にはお勧めするが)。どちらにしても、カーAVの世界においてしばらくはiPod全盛の時代が続きそうだ。

ライター/野村ケンジ
ライター/野村ケンジ
カーオーディオ専門誌「AUTO SOUND」、4駆自動車雑誌「4X4MAGAZINE」などでカーAV系を中心に活躍するフリーライター。常に数台のクルマを所有せずにはいられないクルマ狂であり、同時にラジオすら付いていなかった1970年式のフィアット・チンクエチェントに本格カーオーディオを取り付けてしまった音楽狂でもある。